建物を建てて時が経つとともに気になってくるのが、外壁やお風呂などに使われるコーキング材(シーリング)の劣化です。コーキングは細かい部分なので遠くから見るとあまり気になりませんが、近くで見ると案外傷んでいるものです。
コーキングの劣化は、見た目を悪くするだけでなく建物自体の劣化にもつながります。たとえば、ヒビが入ることで雨水が侵入して雨漏りや腐食につながる可能性だってあるんです。
劣化してきたらキレイに交換したいコーキングですが、自分でやるのは難しいだろうと思っている方も多いのではないでは?自分では無理だし、業者に頼むのも面倒だと思い、そのまま放置してしまう方もいらっしゃるかもしれません。じつは、コーキングは正しい方法を知ってコツを掴めば案外簡単に剥がしたり交換したりできます。
コツを掴めば、職人さんのような仕上がりも目指せるかもしれません。ここでは、初心者でもキレイに仕上がるコーキングの交換方法を伝授いたします。同時に、コーキング交換の難しさ、リスクもご紹介します。自分でDIYできるのか業者に任せるべきなのか、参考材料としてお役立てください。
コーキングを自力でする前に…これだけは注意したい2つのポイント
自分で作業をしてみようかなと思った方、まずは2つの注意点をご確認ください。コーキング剤の取り扱いが比較的簡単とは言っても、自分で作業するということはそれなりのリスクを背負わなければなりません。また、手際よく作業しなければ失敗してしまうこともあります。どのような注意点があるのかを理解したうえで、自分で試してみるようにしましょう。
ポイント1. DIYは多くのリスクをともなうこと
コーキングを交換することはメンテナンスDIYの一種と言えますので、まずDIYにともなうリスクを理解する必要があります。まず気をつけたいのが怪我です。機械や材料による怪我や、高所で作業する場合には、集中しすぎず、体勢や足元に十分に気をつける必要があります。
さらに、失敗のリスクも常に付きまといます。シーリング(コーキング)交換は、国家資格があるほどの作業でもあります。自宅をすることは問題ありませんが、一歩間違うと家の耐久度にかかわるので重要度が高いのです。
とくに初心者の場合は道具の使い方や施工方法をよくわかっていないため、失敗しやすいです。選ぶべき材料、施工順序などをきっちりと頭の中に入れてから作業計画を立てることが大切です。
ポイント2. コーキングを剥がす・再コーキングはほぼ同時期に行うこと
2つ目の注意点は、コーキングの作業のスピードが命だということです。コーキング剤は隙間を埋める重要な役割をしているものです。そのコーキングを交換する間に水などが隙間に侵入してしまっては建物の耐久性を損なう原因になってしまいます。コーキング剤を剥がした後はすぐに再コーキングするということを念頭において作業をはじめましょう。
コーキング剤の剥がし方
コーキング交換では最初に古くなったコーキングを剥がす作業から始まります。キレイに剥がせるか剥がせないかが今後の作業の仕上がりを左右しますので、慎重かつ丁寧な作業をこころがけましょう。
コーキング剥がしに使うのは以下の道具です。
- 軍手
- マスキングテープ
- カッター
- スクレーパー
- ペンチ
コーキング張り替えセットとして、コーキング用ヘラ、ノズルストッパーなどと一緒にひとまとめで売っている場合もあるので、すべての道具を集められるか不安な方は、セットを探してみるのも手軽でよいでしょう。
コーキング剥がしにはカッターを使うことが多いですが、カッターのほかに、スピンカッターと呼ばれるスピーディに作業できる機器や、棒状の剥がし道具なども販売されています。自分が使いやすいと思うものを選ぶのがおすすめです。
- コーキングにカッターを入れる
- 目地(コーキングの奥の面)にくっついているコーキングをペンチでつまんで剥がす
- スクレーパーを目地に当てて残ったコーキングを剥がす
- 細かいゴミやコーキングを掃除する
カッターを入れる際には、コーキングと壁面のギリギリの場所に切れ目を入れると剥がしやすくなります。
コーキングガン装着・使い方
コーキングを剥がした後は、コーキングガンの出番です。コーキングガンとはコーキング剤を隙間部分に充填するための道具です。使い方は以下の通りです。
まずはコーキング剤を準備し、コーキング剤をセットします
- コーキング剤を用意し、ノズルをカットする
- コーキング剤がこぼれないようにノズルを外す
- ノズルを上下逆にして入れ込む
- レバーを上げてコーキング剤を入れる
ハンドルを握ることでノズルの先端からコーキング剤が出てきます。コーキング剤の出方を見ながら、握り具合を調節して使いましょう。
コーキング施工の仕方
コーキングは専用機器を使って作業することもありますが、ここでは初心者でも手軽に取り組める、手作業でのコーキング作業をご紹介します。
- マスキングテープや養生用テープで施工箇所を覆う
- 下塗り用の塗料を塗りつける
- コーキング剤を埋める、ヘラでならす
- マスキングテープなどをすべて剥がす
ヘラを使ってならす作業が一番の難関です。違う大きさのヘラをいくつか用意し、場所によって使い分けると塗りやすくなるかもしれません。2番目の下塗り用の塗料を目地に塗ることで、コーキングが長持ちするようになります。これは、気候の変化によってコーキングが伸縮しますが、目地とコーキングが直接くっついていると伸縮しにくくなり、ヒビが入りやすくなってしまいます。
そこで、専用塗料を下塗りすることで、伸縮しやすいようサポートし、ひび割れなど劣化が起こりにくくなります。
余ったコーキング剤の保管方法
購入後1年前後が使用期限となっているコーキング剤は、そのまま放置しておくと固まって使えなくなってしまいます。近々使う予定があるのであれば、できるだけよい品質を保っておくためにも、しっかりと補完しましょう。
コーキング剤を使うときはノズルをカットしますが、カットした部分は取っておくと便利です。ノズルを逆向きにしっかりと挿した後、テープで刺した部分を覆うように固定します。
剥がしたコーキング剤はどう処分すればいいの?
コーキング剤は普通のゴミのように処分してはいけません。剥がした後の古くなったコーキング剤は、廃プラスチックに分類されます。10~15センチ程度の大きさにまで切り、廃棄業者に依頼して処分してもらうと安全です。
業者に依頼をする場合に知っておきたいこと
自分で作業するのは難しい…と思ったときに頼りになるのが業者です。しかし、楽をしようと増し打ちという作業で簡単に済ませようとする業者もいるので注意が必要です。施工方法には気をつけて、信頼できる業者選びをしましょう。
「増し打ち」施工に要注意!
シーリング交換を業者に任せると、「増し打ち」作業をされることがあります。増し打ちとは、古くなったコーキングのうえからコーキングを重ね塗りする方法です。この方法では逆に、剥がしてから塗りなおすことを「打ち換え」と言います。もちろん、内か柄の方がシーリング交換としては高品質になり、長持ち度も格段に違います。
施工費用が安すぎる、作業時間が短いという場合には、増し打ちの可能性があるので要注意です。依頼前に増し打ちか打ち換えなのか、きっちりと確認しましょう。
良い業者を選ぶためにはどうすべき?
よい業者を見つけるために何よりも大事なのは、相見積りです。見積りを業者に頼むことで、実際にかかる費用や、行ってくれる施工内容を詳細まで確認することができます。
さらに、見積りをいくつかの業者に依頼すれば、同じ施工内容にかかる費用や対応を比較することができ、一番お得にそして安心して任せられる業者を目で見て確かめることができます。業者選びに迷ったら、まずは見積りを依頼してみましょう。
まとめ
コーキング(シーリング)交換は、古いものをキレイに剥がす、コーキングガンを使ってコーキングを充填する、ヘラなどでコーキングを伸ばすという3つのステップになります。DIYでも極めれば職人技のようにキレイに仕上げることも可能ですが、怪我や失敗といったリスクをともないます。
自分では難しいと思ったら、業者にお任せしてみるのもよい手段です。業者を見つける際には、増し打ち施工に気をつけて、相見積りをしたうえで最適な業者探してみてください。
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