住宅屋根に設置されているパイプのような長い筒、どんな名前でどういった役割があるかご存知でしょうか?【雨樋】といって、住まいを守る住宅機能の1つです。実は屋根に付随するものの中でも重要な機能の1つで住まいを守るための大きな役割を担っています。
雨樋を意識したことがないというご家庭は要注意です。ご自宅の雨樋がしっかり機能しているか確認しましょう!今ページでは意外と知られていない雨樋の役割や種類、トラブルの原因や補修方法についてくわしく解説してみいきます。
雨樋の役割や種類きちんと理解していますか?
雨樋は屋根にたまった水を排水するために必要な設備です。はじめに役割や形の違いを知っておきましょう。
雨樋の役割と機能
雨樋がなく、そのまま水が流れ落ちると地面に跳ね返り外壁や土台を濡らしてしまいます。雨樋がうまく機能しないと住宅の雨漏りや住宅部材の腐食・それらに伴う二次被害の危険にさらされ、本来持つべき住宅の機能が失われていきます。
雨樋は屋根に溜まった雨水を軒先で受け止める【軒樋】、受け止めた雨水を流すための【縦樋】、軒樋と縦樋を繋ぐ部分の【集水器】なるもので構成されています。
雨樋を普段から気にかけているというご家庭は少ないでしょう。雨漏りや外壁にカビ・苔などが生じてはじめて異常やトラブルに気が付くという方も多いようです。
しかし説明した通り、雨樋は重要な住宅機能の1つ。
住まいを守るためにも故障や不具合などには迅速に対応しましょう。
形状からみる雨樋の種類
▶半円型
主流の形です。見たことがある・自宅の雨樋がこの形をしているという方は多いはずです。竹を半分に割ったような形です。
▶角型
集中豪雨が増えた近年、主流になりつつある形です。半円型に比べて多くの雨水を受け止めることができます。
▶特殊型
豪雪地帯などに多くみられます。屋根の雪下ろしや雪かきの際に雨樋を痛めないように特殊な形をしています。
素材によって雨樋の価格や耐久性が変わる
素材によって耐用年数にも違いが出てきます。それぞれ塗装をすることで劣化のスピードを緩める・外壁との調和をとることが可能です。
▶塩化ビニール
現在、最も広く普及している素材です。色のバリエーションが豊富、軽量でコストがかからないというメリットの反面、耐久性が低いというデメリットがあります。
▶他の合成樹脂
見た目は塩化ビニールとほぼ変わりませんが、塩化ビニールに比べ耐久性が高いです。当然、塩化ビニールより高価です。
▶ガルバリウム銅板
屋根材としても注目を浴びているガルバリウム銅板は金属でありながら耐久性が高く、加工がしやすいです。価格のバランス・コストパフォーマンス面も優秀です。
▶銅
一般住宅ではあまりみかけませんが、神社の瓦屋根などに設置されていることが多いようです。耐久性が高く、高価な雨樋です。
▶アルミ
雨水に強く、耐久性も高いです。普及しないが故に流通が少ないのと、価格が高いというのが短所としてあげられますが機能面のデメリットは少ないです。
▶ステンレス
耐久性が高く、つなぎ目が目立たないため外観にこだわりのある方におすすめです。アルミ同様、価格が高い・あまり流通していないことが短所としてあげられます。
雨樋の修理
雨樋の原因と修理方法、交換作業の流れについてみていきます。
雨樋が壊れる原因と修理方法
落ち葉やゴミ詰まり
集水器
雨樋の詰まりが起きる場所で最も多いのが集水器の口です。庭木などがお家と近い距離に建っている場合は落ち葉が詰まっていることも。
他には風で飛んできたゴミやねずみのような小動物の死骸などです。集水器の詰まりの場合の対処方法は、届く範囲で原因となったゴミや落ち葉を取り除き、水を流してうまく機能しているか確認するだけです。
縦樋
縦樋の場合は硬度☑長さのある針金の先端にゴミをキャッチできるような素材の布を適当な大きさに丸めて取り付けます。縦樋のつなぎ目を外して雨樋の内側が確認できるようにしたらハシゴをかけて上がり、布つきの針金を通します。このとき、布を取り付けた反対側から差し込んで上下左右に動かしてください。布でゴミを絡め取ります。貫通し、きれいになったと感じたら針金を取り出して完了です。
2~3回繰り返し、最後に水でうまく流れるか確認してください。その際、つなぎ目を外した縦樋を戻すことを忘れないようにしてください。
軒樋
軒にハシゴをかけますが、その際雨樋を支える支持金具は避けましょう。
軒樋の内側の落ち葉やゴミを取り除き周辺を掃除します。ゴミや落ち葉が引っかかるような突起物があれば撤去しましょう。
落ち葉やゴミ詰まり
縦樋の場合は硬度☑長さのある針金の先端にゴミをキャッチできるような素材の布を適当な大きさに丸めて取り付けます。縦樋のつなぎ目を外して雨樋の内側が確認できるようにしたらハシゴをかけて上がり、布つきの針金を通します。このとき、布を取り付けた反対側から差し込んで上下左右に動かしてください。布でゴミを絡め取ります。貫通し、きれいになったと感じたら針金を取り出して完了です。
2~3回繰り返し、最後に水でうまく流れるか確認してください。その際、つなぎ目を外した縦樋を戻すことを忘れないようにしてください。
経年劣化による不具合
雨樋の耐用年数は20~25年と言われています。経年劣化が原因であれば業者を呼び、新しいものと交換しましょう。
暴風や雪などでき損
雨樋は自然災害による不具合・き損も多いです。この場合も経年劣化と同じように交換が必要になります。費用は火災保険でまかなえる場合があります。
業者が行う雨樋修理の方法
1.古い雨樋を撤去
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2.支持金具を取り付ける
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3.指示金具による穴を防水コーキングで補修
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4.軒樋をカット
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5.軒樋に継手・止まりを設置する
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6.集水器を設置する
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7.縦樋を設置し、集水器とつなげる
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8.排水の確認
8は雨水枡に流れるか確認する作業です。排水場所は自治体によって変わります。
雨樋修理価格の目安を調べる方法
雨樋の修理費は意外と跳ね上がるケースも多いです。特に築年数が古い家は雨樋の補修箇所がわずかでも、整合する部材の取り扱いが終了していることも十分考えられます。その場合はすべて新しくしなくてはいけなくなり、当然費用も上がります。業者に依頼する前にだいたいどのくらいの金額が必要になるのか知っておきたいという方のために、目安のはかり方を確認していきます。
相場を調べる
情報を集めることも大切です。自宅の雨樋がどういった形状・素材でできているのかの特徴・症状を確認してみましょう。近隣との距離や建物の高さによっては工事費が高額になる足場も必要となります。
雨樋修理や交換を取り扱う業者の多くは、ホームページで症状や原因別修理費用・交換費用を掲載していますので、大まかな相場をはかることは可能です。足場が必要になるかなど、不明な点があれば電話などで問い合わせましょう。
相見積もりを行う
相場を確認したあとはピックアップした業者に見積りをお願いしましょう。相見積もりを行うことにより細かい平均価格やサービス内容を確認することができます。
適切な業者選びも大切
相場を調べ、相見積もりを行ったあとは業者をよく見極めましょう。価格やサービス内容はもちろん大切ですが、会社としてコンプライアンスがしっかりしているか、顧客対応などもポイントに入れて考慮しましょう。対応がしっかりしている業者の施工品質が必ずしも高いとは限りませんが、住まいの重要な機能の1つをまかせる業者です。あらゆることを考えて慎重に選ぶ必要があります。
また、雨樋の修理や交換は葺き替え工事などの大掛かりな屋根リフォームを取り扱う業者よりも屋根や雨漏り修理を專門としている業者の方が経験値は高い場合が多いです。より専門性の高いところに依頼する方が失敗は少ないと考えられます。
POINT!
雨樋の修理や交換は葺き替え工事などの大掛かりな屋根リフォームを取り扱う業者よりも屋根や雨漏り修理を專門としている業者の方が経験値は高い場合が多いです。より専門性の高いところに依頼する方が失敗は少ないと考えられます。
火災保険が下りれば無料で修理できる
加入している火災保険のプラン範囲にもよりますが、雨樋の修理費用を火災保険でまかなうことは場合によっては可能です。実際にどういった条件の下、火災保険が適応されるのかみていきます。
雨樋修理費用が火災保険で適応されるか
雨樋の破損原因が台風や雪など、自然災害によるものであれば火災保険が適応される場合もあります。
突風や台風などでき損したのであれば【風災補償】、雪は【雪災補償】にあたります。保険会社への請求は自分でもできますが、火災保険に精通した業者指導の下行った方が賢明です。
実際に雨樋破損で被った損害を火災保険でカバーできたケースは多くあります。
わからない場合は業者や保険会社へ問い合わせてみる
屋根や外壁も同様ですが、雨樋の破損や不具合は自然災害によるものなのか、経年劣化によるものなのか判断が難しいです。まずは信頼できる業者に相談、契約している保険会社のプランを確認のうえ問い合わせしてみることをおすすめします。
火災保険適応を申請するにあたり注意していただきたいのは、申請してから調査、調査から実施に保險が降りるまで時間を要することが多いことです。これまで説明してきた通り、雨樋は住宅にとって重要な機能の1つですから、保險の結果を待っている間機能を1つストップさせることは二次被害の広がりの危険もあるため推奨できません。応急処置のみでも良いので業者に手を入れてもらいましょう。
まとめ
住まいを雨水から守る雨樋の大切がわかりました。最後に雨樋の不具合による住まいのトラブル回避のポイントです。
- 雨樋は屋根の雨水排水を助ける役割を担っている
- 形状や素材にもバリエーションがある
- 故障・不具合が起きた場合は適切な修理・対応を!
- 業者選びは慎重に行う
- 自然災害で破損した場合は火災保険が適応されることも!
雨樋も住まいを守る立派な設備です。不具合があるときはきちんと修理しておきましょう。