「昨日の台風から雨漏りするようになった」
「最近、天井に雨染みがあることに気付いた」
雨漏りしたとき屋根や天井などの修理費用は、火災保険で対応できます。
しかしどんなときでも使えるわけではありません。
- 雨、雪、雹による自然災害が原因である
- 被害が出て3年以内である
- 保険の契約で決めた金額の範囲内である
よく誤解されているのが、経年劣化による雨漏りです。残念ながら経年劣化は対象外です。
とはいっても、雨漏りの原因は専門家に見てもらわないと判断がつきません。
また、月日が経つほど原因の特定がしにくく、本来なら保険対象であっても対象から外れてしまうこともあります。
そのため、雨漏りに気付いたら、早めに保険会社へ連絡をしてください。保険会社より調査が入り、保険適用するかの審査をしてくれます。
当記事では、火災保険を使って雨漏り修理をしたいと考えている方に向けて、必要な知識や利用するための手順などをご紹介しています。
保険申請はすべて業者に任せることができないので、当事者意識を持って申請を進めましょう。
目次
雨漏り修理の火災保険は自然災害のみ適用
台風やゲリラ豪雨、雪や雹(ひょう)といった自然が原因で起きた雨漏りのとき、火災保険を使って修理ができます。
もう少し具体的にいうと以下のようなケースが当てはまります。
☆台風・竜巻などによる強風被害
- 強風で屋根が壊れた
- 強風で屋根材が飛ばされた
- 瓦屋根の漆喰が強風で剥がれた
- 割れた窓ガラスから雨が入り、家の中が水浸しになった
- 割れた窓ガラスから飛来物が飛び込んで家具が傷ついた
☆豪雪・雪崩(なだれ)などによる被害
- 雪の重みで屋根や雨樋が壊れた
- 雪の重みでカーポートが倒壊した
- 雪崩に巻き込まれて家が倒壊した
☆雹(空から降る氷の粒)による被害
- 雹で窓ガラスが割れた
- 割れた窓ガラスから風が吹き込んで家具が傷ついた
- 雹の衝撃で屋根材が傷ついた
注意
- 洪水・高潮・土砂崩れは「水災」となり、火災保険の対象外です。
- 家具の補償は、家財が補償対象に入っている保険内容であることが条件です。
風災の目安は風速20メートル
台風やゲリラ豪雨でなくても、瞬間的に強く吹いた風による被災でも風災として扱われることがあります。
目安は風速20メートルで、以下の表をご覧のとおり風に向かって歩けないレベルです。竜巻やつむじ風でも風速20メートルあれば当てはまります。
【画像引用】:日本気象庁協会
経年劣化による雨漏りは適用外
時間の経過により摩擦や損耗で品質が低下することを「経年劣化」といいます。
人的被害や経年劣化での雨漏りは火災保険の補償対象外となります。
- 太陽光パネル設置時の屋根の破損
- 新築・リフォーム・増築などの施工不良
(新築から10年以内なら住宅瑕疵担保責任保険を利用できる可能性があります) - 耐用年数を超えた屋根材のひび割れや錆び
- ベランダの雨どい詰まりによる雨漏り
- 雨風による窓のサッシからの染み込み
そもそも火災保険は「雨漏り」を保障しているわけではありません。建物、家財(加入保険内容による)を保障しているのです。
そのため、強風で物が飛んできて屋根や窓をやぶり雨漏りがした場合は、建物損傷として火災保険が適用されます。
しかし、建物の損傷はなく雨が染みてきた場合は、火災保険は適用されません。(雨漏りの原因特定は専門家による確認が必要)
また、いつ起こるかわからない災害に備えての火災保険なので、自然災害は想定外のでき事として保障されます。しかし、経年劣化は「想定外」とはいえません。日頃からメンテナンスをしていれば防げるという見解です。
窓やベランダからの雨漏りは保険対象となるのか判断が難しい!
窓サッシは構造上、雨漏りしやすい箇所ともいえます。そのため、台風で雨が吹き込んでも風災認定されず、保険適用がされにくいです。
火災保険が適用される3つの条件を確認
自然災害で起きた雨漏りの修理を火災保険でまかなうとき、以下の3つの条件をすべてクリアしていないと使えません。
被害から3年以内である
保険法には以下のように定められています。
(消滅時効)
第九十五条 保険給付を請求する権利、保険料の返還を請求する権利及び第六十三条又は第九十二条に規定する保険料積立金の払戻しを請求する権利は、これらを行使することができる時から三年間行使しないときは、時効によって消滅する。引用:保険法(最終閲覧日:2022年7月5日)
つまり「補償を受けられるようになってから3年以内に申請しないと、その権利を失う」という意味です。
また、前述のとおり経年劣化は対象外になる理由の一つですが、申請が遅れると「自然災害による被害だったのに、経年劣化と判断されて補償を受けられなかった」となるかもしれません。
申請は雨漏り修理後も可能ですが、なるべく早く申請してください。
補償内容に風災・雪災・雹災が含まれている
火災保険の補償内容に、風災・雪災・雹災が含まれていなければ使えません。
火災保険に付帯している保険会社もあれば、プラスで契約を結ばないといけない保険会社もあります。
いま一度、ご自分の加入している保険証券を確認してみてください。
保険会社名 | 風災・雪災・雹災の付帯 (〇あり) |
東京海上日動 | 〇 |
あいおいニッセイ同和損保 | 〇 |
セコム損保 | 〇 |
三井住友海上 | 〇 |
AIG損保 | 〇 |
日新火災 | 〇 |
楽天損保 | 〇 |
損保ジャパン | 〇 |
ソニー損保 | 〇 |
SBI損保 | 別途契約 |
損害額が一定金額を上回っている
火災保険には
- 免責方式(エクセス方式)
- フランチャイズ方式
この2種類があり、どちらのタイプで契約をしているかで受け取り金額が変わります。
なお、現在では免責方式が一般的なようです。
免責方式(エクセス方式)
免責方式(エクセス方式)は「免責金額(自己負担額)を上回った分の損害額」が保険金として支払われます。
損害額30万円-免責金額5万円=25万円の受け取り
損害額3万円-免責金額5万円=受け取れない
保険の種類によっては免責金額を設定することができ、自己負担0円も可能です。
「それなら0円にすれば、負担も0円で一番お得では?」と思われるかもしれませんが、免責金額が安いほど保険料が高くなります。
火災保険を申請する頻度に応じて免責金額を設定しましょう。
フランチャイズ方式
フランチャイズ方式は「損害額が一定額を超えた場合に全額」が保険金として支払われます。
逆に、一定額を超えなかった場合は受け取れません。
損害額30万円=30万円の受け取り
損害額3万円=受け取れない
昔の火災保険は「損害額が20万円以上の場合に補償」が一般的でしたが、最近では1万円、5万円など細かく金額が選べるようになっています。
火災保険を申請する流れと手順
実際に火災保険を申請するときの流れや、あなたがやるべき手順をまとめました。
また、信頼できる雨漏り修理業者へも相談をし、申請書類の作成を手伝ってもらいましょう。
保険会社へ連絡する
依頼主本人が保険会社へ連絡をします。
「雨漏りしているので保険で修理したい」ことを伝えると、あなたの加入保険が雨漏り対応しているのかを調べてくれます。
対応保険であれば、次で説明する種類を送付してくれるので、到着を待ちましょう。
このとき、雨漏り修理業者へも相談し調査を依頼しておいてください。
書類作成はひとりで作成するのは難しいので、必ず「火災保険で雨漏り修理を施工した実績がある」業者へ手伝ってもらいましょう。慣れているためスムーズに申請が進みます。
送られてきた書類を記入して送付する
保険会社に提出する書類は、おもに以下の4点です。
- 保険金請求書
- 事故状況報告書
- 損害箇所の写真
- 修理費見積書
この4つのうち、自分で記入するのは上2つの「保険金請求書」と「事故状況説明書」です。
下2つは業者が作成してくれるので、雨漏りしたときの状況を詳しく説明をしておきます。そのほうが業者側も原因の究明がしやすくなります。
4つの種類が揃ったら、さっそく保険会社へ送りましょう。
point!
室内の様子など、雨漏りしているその瞬間の写真を自分でも撮影しておくことをおすすめします。より具体的に被害が保険会社へ伝わります。
現場調査をしてもらう
書類を受け取った保険会社は、現場調査へあなたの自宅に伺います(書類だけで終わることもあります)。
損害箇所の調査は第三者機関から派遣された損害鑑定人がおこないます。
依頼や調査費の負担は保険会社がおこなうため、あなたがやることは特にありません。
鑑定人の調査をもとに、保険金が支払われるか否かの審査がおこなわれます。
保険金が振り込まれる
審査に通れば、めでたく保険金が支払われます。
保険金が適用されることが確実にわかってから、業者へあらためて修理を依頼しましょう。
申請するときに気を付けたい3点
火災保険を使うなら、以下の3つは理解しておいてください。間違った知識では損してしまうこともあります。
代理申請はできない
保険は、依頼者本人のみが申請できます。
修理業者のなかには「代わりに申請しておきます」というところもあるようですが、本人以外では申請はできない決まりです。
たとえ、過去にあなたの家のリフォームなどでお世話になった業者であろうと、今回雨漏り調査を依頼した業者であっても申請はできません。
「面倒だからおまかせしよう」としないで、必ずあなたがおこなってください。
申請してすぐに支払いされるとは限らない
申請書を送付してから、保険金の支払いまで数週間〜1ヵ月ほどかかります。
そのあいだ、雨漏り被害が広がって状況がひどくなっても残念ながらその分の追加保険の支払いはありません。自費負担となります。
被害が広がらないように応急処置だけはしておいたほうがよいでしょう。このときの最低限の簡易的な処置でかかった費用も保障されています。(最終的に審査が通った場合のみ)
修理の契約は申請結果が出てからにする
業者との施工契約は、審査通過が確定してからにしてください。
早々に業者と契約をしてしまったことで、変更や契約破棄ができないトラブルになることも……。
申請が必ず通るとは限りません。通らなければ、自費の修理になります。
審査の結果がどちらにしても、雨漏りしているので結局は修理をすることになるとは思います。
けれど、全額自費となるとできるだけ安い修理業者を探したくなりますよね。
もしくは、施工内容を変更したくなることもあるでしょう。
しかし、契約後のためキャンセル料の請求や支払いされる予定だった保険金額の何割かを、書類作成料として請求する業者もあります。
正式な契約をするのは、さまざまなことが決定してから慌てずにおこなってください。
火災保険の審査が通りやすくなるコツ
第3章でお話した『火災保険が適用される条件3つ』に当てはまっていても、申請がおりないケースもあるようです。
以下の2つをチェックしてみてください。
(1)自然災害であることがしっかり伝わる書類である
(2)審査通過しなかった理由しだいでは再申請で通ることもある
(1)書類上でしっかり『自然災害が原因です』とアピールできているでしょうか。
火災保険が適用される最大のポイントは、雨漏り被害の原因が自然災害であることです。そのことが保険会社に伝わらないと意味がありません。
そのお手伝いをしてくれるのが、修理業者が作成してくれる書類です。保険申請が通りやすい書類の書き方を熟知している業者だと安心です。
また、あなたは当時の雨漏りの状況を細かく業者に説明してください。そのとき写真撮影をしていると業者にも伝わりやすくなります。
(2)書類審査が通らなかった原因はなんでしょうか。
もし、審査が通らなかったとき保険担当者に理由を聞いてみてください。理由によっては、再申請で通る可能性もあります。
言われたことを修理業者に相談をしてみると、調整した書類を作成してくれるでしょう。
虚偽の申告は絶対にいけません!嘘は必ず発覚します。違反行為として保険の契約解除や、あなたが保険会社から訴えられることがあります。
もし、業者から嘘を薦められても絶対に話にのらないでください。そのような業者は信用に値しないので、すぐにほかの業者へ変更してください。
火災保険と火災共済の違い
火災保険と似ている『火災共済』。この2つは違う制度です。
火災保険は民間の保険会社が取り扱い、個人と契約しているものです。
かけ金にそって保険金が支払われます。
それに対し、火災共済は非営利団体が取り扱っているものです。
よく聞く「全労済」は厚生労働省の管轄です。
「加入している人同士でお金を出し合い、損害が出たら出し合ったお金で助け合いましょう」と取り決めされています。
▼火災保険と火災共済の違い
火災保険 | 火災共済 | |
運営 | 保険会社 | 非営利団体 |
補償の範囲 | 広い | 狭い |
支払いの限度額 | 高額 | 低額 |
保険・共済の例 |
|
信頼できる雨漏り修理業者の見極め方
急な雨漏りで修理業者を探すとき、親切で信用できる専門の業者に依頼をしましょう。
- 保険適用の雨漏り修理に慣れている
- 雨漏り修理の技術が高い
- 契約の無理強いをしない
- 追加費用が発生せず、見積書が明瞭である
業者選びに失敗すると、見積り後に追加で費用が発生したり修理しても雨漏りが再発したり、のちのちトラブルに発展することもあります。
また、今回は保険会社を使っての雨漏り修理です。保険会社へ提出する書類作りに不備があったり、自然災害なのに原因がつかめなかったりしては、せっかくの補償も受けられなくなるかもしれません。
そうならないように、専門知識のある業者へ相談することが大切です。
弊社の「雨漏り修理110番」では、これまで数多くの雨漏り修理の経験があるプロの業者をご紹介しています。もちろん火災保険を使っての雨漏り修理も経験があるので、書類作成も難なくおまかせいただけます。
強引なご契約を迫ることはございません。お客様にはじっくり検討してもらい、納得いただいてからのご契約となります。どうぞご安心ください。
雨漏りを発見したら「経年劣化かも……」とあきらめずに、まずは「雨漏り修理110番」までご連絡を。業者が的確に原因を突き止め、最適な修繕をご提案いたします。24時間365日、受付オペレーターが待機しています。電話、メール、LINEから対応しているので、お好きな方法でお気軽にご相談ください。お待ちしております。