屋根の葺き替えとは、屋根材をすべて交換する屋根の大規模な改修工事です。葺き替えと混同されがちなカバー工法よりも大掛かりな工事であり、屋根のリフォームの中で最も費用がかかります。今ページでは屋根の葺き替え工事について詳細にみていきます。
雨漏りを機に住宅屋根の劣化に気付いた・補修・修理だけでは追いつかなくなってきた・メンテナンスや点検の中で業者に屋根材の交換をすすめられた・そろそろ屋根材の寿命が近付いてくる頃かも、とお考えの方、後悔のないようにまずは屋根の葺き替えについて知ることからはじめましょう。
屋根の葺き替えについて
よくある葺き替えパターンと、葺き替え工事がどういった流れや手順ですすめられるのかをみていきます。
屋根の葺き替えパターン
屋根の葺き替えを機に既存の屋根材と新しい屋根材の種類を変えたという方も多いです。以下のパターンがよくみられます。
- 瓦屋根→瓦屋根
- 瓦屋根→スレート屋根
- スレート屋根→スレート屋根
- スレート屋根→ガルバリウム銅板屋根
- トタン屋根→ガルバリウム銅板屋根
スレート屋根とガルバリウム銅板屋根の人気が高いことがわかります。交換する屋根材によって施工価格も変わります。
また屋根の形状によっては、交換できない屋根材があります。
最も多い日本瓦からスレートへの葺き替え
屋根の葺き替えパターンで最も多いのは日本瓦からスレートへの葺き替えです。
どういった作業ですすめていくのか一通りご説明します。
日本瓦をはがす
瓦をはがす作業は手作業です。もちろん鬼瓦やのし瓦もすべてはがします。
桟木・ルーフィングを撤去する
日本瓦を固定・整列させるための桟木・雨漏り防止のために敷いてあるルーフィング(屋根の下葺き材)も撤去します。
野地板を確認
野地板(下地材)を確認し、穴やき損があるなら補修、腐食がひどい場合は交換します。
新しいルーフィングを設置する
重ね幅や破れなどに注意しながら敷いていきます。
スレートを設置する
雨水の流れを考えながら敷いていきます。
完了
仕上げに楝板金を設置して葺き替え工事完了です。
すべての交換作業は雨水の流れを考慮し、釘やビスなどの止め具の位置にも気をつけることが大切です。
簡単に説明しましたが実際にはそれなりに時間がかかります。1日で終わる工事ではありません。
近年人気の高いガルバリウム銅板とは
近年、屋根工事・外壁工事において人気の高い住宅素材のガルバリウム銅板は、銅板を金属メッキ加工したもののことをいいます。メッキの配合が特殊で、アルミニウム55%、亜鉛43.4%、シリコン1.6%の割合でできています。
金属というと水に弱くすぐに錆びてしまうイメージがありますが、ガルバリウム銅板は特殊な配合のメッキにより錆びにくく耐久性も高いです。それでいて軽いので、住まいに負担をかけないと現在人気が高まっています。
今後、スレート材からガルバリウム銅板が主流になっていくと言われています。しかしどんな屋根材でもメリット・デメリットがあります。どちらもよく理解したうえで選びましょう。
ガルバリウム銅板のメリット・デメリットは以下の通りです。
- 錆びにくい
- 耐久性が優れている
- 軽量・耐震性に優れている
- 耐熱性に優れている
- 断熱機能がない
- 錆びにくいがキズがつきやすい
point!
他にも素地仕上げの場合は黒点現象が起こる・白サビが発生しやすいなどがあげられます。塗料で、ある程度ダメージを軽減できますので素地仕上げではなく同時に屋根塗装を行うことをおすすめします。
屋根の葺き替え時期を見極める
屋根は普段視界に入らない場所なので、どうしても屋根材の寿命などで交換時期をはかりがちです。しかし耐用年数はあくまで平均寿命と考えましょう。屋根の状態を確認し、状態によってメンテナンス・葺き替え工事時期を見極めることが大切です。
まずは耐用年数を確認
それぞれの耐用年数を確認しておきましょう。判断基準としてではなく、屋根の状態を確認・調査を行うタイミングの良い目安となります。
※メーカーによっても違いが出るようです。
スレート 10~15年
瓦 25~30年
トタン 6~10年
屋根の状況を知るためのチェックリスト
- スレートにひび割れが生じている
- 屋根全体が白んで色あせている
- 築15年以上で1度もメンテナンスを行っていない
- 天井にシミがある
- 腫れているのに屋内の湿気がひどい
- 屋根にコケやカビが発生している
- 雨漏りしている
- 住宅のどこかで雨音がする
- 強風時、屋根や天井裏で異音がする
- 瓦が不揃いで乱れている
確認し半分以上当てはまるようなら屋根の葺き替えを検討しましょう。
半分以下であれば補修で十分な場合が多いです。業者と相談しながらメンテナンスしていくことをおすすめします。
屋根の葺き替えを行うにあたって
屋根の葺き替えを行うにあたり住宅のオーナーとして知っておきたいこと、施主として工事の際に注意するべきことを確認していきます。
葺き替えを行うメリット
実質屋根材がすべて新品になる工事です。
大きな利点としては……
注目!
- 屋根の寿命が伸びる
- 耐震性が上がる
- 住宅の美観向上
などがあげられます。
屋根材が限界を迎えているのに放っておくと雨漏りやそれに伴う二次被害などの危険にさらされることになります。葺き替えを行うメリットも大きいですが、古い屋根材をそのままにしておくデメリットは計り知れません。タイミングが来たら必ず屋根の葺き替えを行いましょう。
葺き替え工事に注意すべきこと
屋根の葺き替え工事をするにあたって注意したいことは、以下の通りです。
- 費用がかかる
- 近隣トラブルに気をつける
住宅の屋根を丸々取り替えるということは、費用がかかります。特に屋根は高所作業です。多くの場合、足場を組まなければいけません。屋根の葺き替え費用だけではなく、高額と言われる足場代は家計にとって大きな負担です。
屋根の葺き替え工事で多い近隣トラブルの原因は騒音と粉塵です。古い屋根材を撤去する際に大きな物音や粉塵が立つことがあります。密集している住宅地であれば養生を厳重にするなどの工夫を行ってもらいましょう。
屋根の葺き替え費用について
屋根の葺き替えは決して安くありません。工事価格の金額からみても家庭にとって1つの大きな決断でしょう。後悔をしないためにも葺き替え工事ではどういったことが行われるのか、見積書に記載される内訳、長い目でみて損をしない業者の選び方などをあげていきます。
費用の主な内訳
屋根の葺き替え費用の主な内訳を解説します。
おおまかな内訳ですので参考程度にご覧ください。
■屋根材の撤去
■屋根材の処理・処分
■野地板・コンパネなど下地の補修
■防水シートの交換
■交換する屋根材
■屋根材以外の材料費
■足場
■工事するにあたっての経費
最後については工事をするにあたり、かかった移動費・運搬費などです。施主の敷地に車が停められない場合は駐車場費などがかかる場合もあります。
信頼できる業者に頼むことが大切
屋根の葺き替え工事施工品質が耐用年数にかなり影響します。施工期間も1~2日で済むものではないため、業者選びが大切です。
音や廃棄の出る工事はデメリットの欄でもお伝えした通り、近隣トラブルも生じやすいです。多くの面で配慮があり施工品質の高い業者が理想です。
自然災害による損害で屋根の葺き替えが必要となった場合は火災保険に精通している業者の中から選択していくことも考えましょう。ご家庭のご予算だけではなく要望や施工品質、業者の会社としてのコンプライアンスや質を見極め、慎重に選びましょう。屋根の葺き替え工事で1つでも後悔やトラブルが残ると後々に大きな問題になることもあります。
まとめ
住宅の大きなリフォームの1つである屋根の葺き替えを後悔のないように行うためのポイントをまとめました。
- 交換する屋根材のメリット・デメリットをよく確認しておく
- 屋根の葺き替えのタイミングは耐用年数ではなく調査の結果で見極める
- 葺き替え工事は業者によって施工品質が変わる
- 信頼できる業者選びを!
信頼できる業者を自分で見つけるのは、非常に難しいです。屋根の葺き替え工事をご検討の際はぜひご相談ください。