結露とは、水蒸気を含んだ空気が冷えたものに触れたときに、水滴となることをいいます。
まったく違うもので間違えようがない!といわれる方も多いとは思いますが、季節や住宅環境によっては見分けがつかないケースもあります。結露だと思っていたら雨漏りだった!という事例は意外と多く、業者に調査をしてもらってはじめて雨漏りだと発覚したということもあるようです。
どちらも住宅の劣化を進め、ときには室内に浮き出たカビによりアレルギーを引き起こします。住まいの環境や人間の健康にもよくありません。今回は雨漏りと結露の違いについて見ていきたいと思います。
雨漏りと結露の違い
■雨漏り
建物の機能が失われ、雨水が入ってきてしまっていることを指します。経年劣化などにより、目に見えないような小さな隙間やひび割れなどから雨水の侵入を許してしまっている状態です。
瓦屋根の損傷など屋根だけに原因があるわけでなく、外壁のひび割れから内部を伝って水滴が天井から落ちてきている場合もあります。早急に雨水の侵入を塞ぐための工事をする必要があります。
■結露
結露に悩まされる時期といえば、外気温が室内よりも著しく下がり始める季節ですね。秋から春は特に結露が発生しやすいです。ガラス窓によく付着している水滴は結露によるものです。温かい空気には、たくさんの水蒸気を含まれています。その空気に含まれている水蒸気が冷たい窓や壁の表面に触れることによって水滴となって表面に付着するのです。
結露も少量なら問題はなく、よく起こることでありますが、最近は優れた断熱材が壁面に使われるようになり、家の気密性も高まるようになりました。その弊害として結露の量が昔よりも増えています。
あまりにも結露の量が多いと雨漏りと見分けがつかないほどです。ガラス窓でよく起こる現象なので、場所が場所だと気が付かないことがあります。たとえば天井裏で発生すると、天井から水滴が落ちてきたり、落ちてくるまではいかないものの天井にシミがついていることに気が付かれる方もいます。結露で起こるトラブルも雨漏りと症状が似ているのですね。
どうやって判断・調査する?
■結露
結露が原因で天井から水滴が落ちてきているとすれば、雨漏りの場合とは対処が異なってきます。この場合の原因は、室内で発生した温かい空気が天井裏に上がったとき、空気に含まれていた水蒸気が冷たい外気に触れることによって水滴が発生したためです。たまった水滴が行き場所を求めて落ちてきている状態といえます。
雨漏りかどうかを見極めるには、季節に注目しましょう。冬の間だけで発生しているなら、結露の可能性が高いといえます。また、結露での被害では黒カビが浮き出てくることが多く、壁紙や天井が黒ずんで見える傾向があるようです。
■雨漏り
雨漏りは、雨水が侵入することによって起こるものなので当然、1年中発生します。特に被害が大きくなるのは降水量の増える梅雨の時期です。雨が続いているときに限って起こっているという場合には、雨漏りである可能性が当然のことながら高まります。
しかし、これらの傾向のみでどちらが原因の水漏れなのかを確実に見極めるというのは不可能に近いです。そこで調査が必要になってきます。
■調査
散水調査と赤外線調査の両方を行うことによってどちらが原因かわかります。さらに確かなものとするには、室内のカビが発生している部分を一部分剥がすことです。
住まいや健康にもたらす影響の違い
雨漏りもそうですが結露の場合であっても、水滴を放置してしまうとカビの発生や木材の腐食などが起こります。カビの発生は健康面に悪影響をあたえる可能性が高いです。木材の腐食は住まいの劣化を早くします。湿気は家の天敵といえるでしょう。あまりにも放置しておけば、住む場所を失いかねません。
■結露の対策
換気をよくしましょう。部屋の風通しがよくなるような工夫も大切です。ストーブは大量の水蒸気を発生させやすくします。使用するときは、結露予防のためにも換気をこまめに行うなど注意が必要です。エアコンの除湿機能を効果的に使用できるといいですね。
浴室の使用後は、換気扇をしっかりと使用します。水蒸気を追い出しましょう。結露が発生した場合には、拭き取ることが最も効果的です。時間を空けず、こまめに拭き取れるといいですね。
雨漏りの場合には、個人での対策が難しいものが多いです。雨水の侵入箇所を見つけることが困難な場合が多いからです。一見して、ひび割れや隙間がなかったとしても、家の壁面に使われている素材によっては素材の塗装そのものが弱まっているために雨水を防げなくなっている場合もあります。早急な対処が必要です。
判断が難しい場合はしっかり調査を
大切な住まいを守るためにも、少しでも異常や変化に気が付いたら原因を調べて早めに対処することが大切です。調査をしてみて、雨漏りではなくて結露だったという場合でも安心はできません。
天井や壁のシミなどが雨漏りによって発生した場合は自然災害という扱いとなり、火災保険が適用される場合もありますが、結露には火災保険が適用されることはありません。雨漏りではなく、結露だったというケースは意外に多いのです。
水滴によって、シミができているという場合には早めの調査を行い、できるだけ初期の段階で対策を行うことが大切といえます。
まとめ
- 天井や壁のシミの原因は雨漏りだけとは限らない
- 雨漏りと結露の見極めは難しい
- 寒い季節になると、水が落ちてくるという場合には結露の可能性が高い
- 結露は風の入りをよくし、換気をこまめに行うなどして防ぐ
- 水滴はこまめに拭き取って家を傷まないようにする
- 結露か雨漏りかは判断が難しいので、早めの調査を行うことが大切
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