日本家屋と言えば木造構造が当たり前でしたが、時代の変化、建築技術・建材の発達とともに鉄筋コンクリート造や鉄骨造の建物も増えてきました。
屋根材に関しても、瓦のみならずトタン屋根、ペンキ塗装の金属屋根などが見受けられます。
どのような構造、建築材料でも雨漏りが発生することはあります。ダメージを最小限に抑えるためには、各建築の構造や屋根素材ごとに合わせた対策を考える必要があると言えるでしょう。
ここでは住宅構造や屋根種類の違いをみながら、少数派である陸屋根の雨漏り対策についてご紹介していきます。
住宅構造と屋根
現在の建物は、木造か鉄筋コンクリート造や鉄骨造が主流となっています。それぞれの建築に適した部材の性能、特徴があります。
まずは、木造と鉄筋コンクリート造・鉄骨造の構造や使用されている建材についてみてみましょう。
木造に使われる建築素材
【建築構造】
柱、梁など主要部分が木材
- 木造軸組工法(柱と梁で支える構造形式、金属部品での補強が必須)
- 木造枠組工法(ツーバイフォー工法と呼ばれる変形に対しても粘り強い構造)
【屋根種類】
多くが傾斜がつき、軒があるものである
- 瓦屋根
- 藁葺き屋根
- 化粧スレート屋根
- ガルバニウム剛板瓦棒屋根 など
【木造に使用される部材】
木材、石膏ボード、外壁下地合板、瓦(粘土、棟土)、屋根ルーフィング材など ※木造でも基盤となる基礎部分には鉄筋コンクリートを使用する(住宅の場合、布基礎など)
鉄筋に使われる建築素材
【建築構造】
鉄筋コンクリート造
柱、梁など主要部分が鉄筋コンクリート
- ラーメン構造
- 壁式構造
※コンクリートが鉄部の補強材としての役割を担っている
鉄骨造
柱、梁など主要部分が鉄骨
- ラーメン構造
- ブレース構造
- トラス構造
- プレハブ構造
※鉄骨は粘り気があり強いが、耐震強度は鉄筋コンクリート造ほど高くない
【屋根種類】
勾配屋根の他、陸屋根も多い
- ガルバニウム剛板瓦棒屋根
- 陸屋根(塗膜防水、シート防水、アスファルト防水、コンクリート保護防水など)
【部材】
セメント、骨材、鉄骨、石膏ボード、外壁下地合板、屋根ルーフィング材、防水材など
※内装の他、屋根の下地材として一部木材を使用することもある。
上記以外にも共通の建材として
(断熱材)ウレタン、グラスウール
(外壁)モルタル、外壁サイディングボード(樹脂、金属)、タイル
(補強材)シーリング材
(防水)吸水シート、塗料などの塗布材
など様々あります。一般的に鉄筋コンクリート造が建物としての耐久年数が長いのですが、色や形状のラインナップが豊富で汚れにも強い外壁サイディング張り住宅とするために、木造や鉄骨造を選ぶ人も増えています。
どんな構造・屋根種類を採用したとしても、例外なく雨漏りの可能性は「ゼロ」とは言えません。雨漏りの原因には建材そのものに問題がある場合と、防水処理部分に問題がある場合が考えられます。
【建材に問題がある場合】
経年劣化・紫外線などによる摩耗、ひび割れ
風雨など外的圧力による破損
【防水処理部分に問題がある場合】
防水の目地やサイディングの目地の劣化、破れ
防水材、ルーフィングの劣化
建物躯体と屋根が分離しているタイプは、部分的な修理やメンテナンスが容易です。しかし軒の無いタイプの住宅や陸屋根タイプの修理は、屋根全体を対象に修理をしなくてはならない症例もあり、費用が高くなってしまうこともあります。
陸屋根の雨漏り対策
私たちの周りには圧倒的に数の多い勾配屋根。
身近な分、雨漏り修理の際は「屋根葺き替えをすれば直るのでは?」などと、何となく何ををすれば良いか想像はつきますが、バルコニーをはじめ陸屋根の住宅でいざ雨漏りとなった時はどうすればよいか意外と迷ってしまいがちです。
陸屋根構造の防水には「保護防水」と「露出防水」という2種類の工法があります。
防水層をコンクリートやモルタルで保護する保護防水は、露出防水よりも防水性が高いと言えますが、荷重が増加し家全体としてコスト高となるため、住宅では主に露出防水が採用されることが多いです。
住宅向けの露出防水として、2種類の防水施工の方法をご紹介します。
露出防水
【塗膜防水】
塗膜防水とは、液状のアクリル樹脂・ウレタン樹脂などを下地に塗布し、防水層を形成する方法です。紫外線からの保護を目的として、更に保護塗料を上塗りすることもあります。
カラーが豊富なので、意匠に応じて屋根の塗り替えをすることも可能ですし、劣化した部分は屋根塗装をし直すことで防水性を取り戻せます。
自然素材を活かし、消臭・カビ予防効果が期待できる塗炭という塗料なども存在します。主にバルコニー防水や庇に使われることが多いものです。
【シート防水】
シート防水とは、塩ビシートなど防水性に優れたシート防水材として敷く方法です。カーペットを敷くように、ロール状の防水シートを広げて金具で固定していくだけなので施工が容易なのが特徴です。
劣化した部分は切り取って重ねて施工したり、既設の防水を残したまま施工することも可能なので、非常に融通が利く防水工法と言えます。歩行が可能な強度を持つものもあるので、主に屋上防水工事で使われることが多いものです。
【陸屋根で注意すべき点】
勾配屋根の場合は、屋根自体に強度があるため破損などの心配は少な目ですが、陸屋根で露出防水を採用した場合は、小さな傷や穴が雨漏りに直結する可能性があります。
雨漏り防止のために、追随性の高い防水材を選んだり、定期的に防水メンテナンスをして、防水性を維持するようにしましょう。
普段は屋根や外壁の上部を目にする機会がありませんが、そういう部分から雨漏りは最も発生してしまいます。
一口に住宅と言っても、構造、屋根の形状、材料など組み合わせは様々です。
自宅がどんな屋根でどんな防水処理がされているのか、確認方法が分からない場合は、雨漏りに詳しい業者に相談するのもいいでしょう。